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島をどう見せるかを考える(前編)ー宇久島の未来をつくるプロジェクトー

レポート

宇久島を舞台に実施中の3710Labと海風舎の共同プロジェクト「宇久島の未来をつくるプロジェクト」。

5月24日、雑誌作りをするにあたってメンバーそれぞれの考えを誌面にどう反映させていくかを検討するために、第2回ワークショップ兼編集会議を開催しました。題して『DESIGN WORKSHOP FORM & COMCEPT』です。

デザインしてみよう

この日、メンバーが取り組む作業は、ラフ(※1)レイアウト(※2)作りです。

ラフレイアウト作りとは、誌面を仕上げて行くための最初のたたき台をつくる作業工程のことです。

もっとも、メンバーはまだ取り上げるテーマさえ固まっていない段階です。また、雑誌を作った経験もないので、完成予想図を想定した精緻なたたき台をつくることはかなり難しいです。

そこで、今回は相当に粗いラフを作ることにしました。まずは、頭の中におぼろ気に浮かんだ考えを、手を動かしながらかたちにしてみよう。デザインしてみよう、というわけです(※3)。

講師はスタジオ・プントビルゴラのデザイナーである吉村雄大さん。東京出身です。


島の何を見せたいか、どのように見せるか

まずは、吉村さんからワークショップの趣旨説明です。このワークショップのタイトルはFORM & CONCEPT。FORMはかたち、CONCEPTは構想とか考えという意味です。

「前回は記事を作るにあたってのテーマを決めました。今回はその中から一つのテーマを自由に選んでもらいますが、意識してほしいのは、テーマに対してCONCEPTを持つということです。」

前回の編集会議では、日本全国に向けて発信したい宇久島のヒト・モノ・コトについて挙げてもらいました。
魚、海、星、夕日、城ヶ岳、学校行事、祭、かんころもち、紫アスパラガス、宇久じまん昔話、歴史、方言、人のあたたかさ。
これらの暫定的な候補の中からひとつテーマを選びます。

「たとえば海をテーマにしたなら、海の何を見せたいのかをまずは考えましょう。キレイな海、汚い海、寒い季節の冷たい海、荒々しい波が立つ厳しい海などなど。何を見せたいかで、どんな風に見せるのがいいかは大きく変わってきます。」

「発信したいテーマを決めたら、それをどう表現するかを考えます。宇久島をどう見せるかの構想を練るのが今回のワークショップです。」

もっとも、この時点ではまだ取材をしていません。当然レイアウトの素材となるテキストや写真は手元にありません。そこで、今回は吉村さんが用意したテキスト素材や写真を使って、切り貼りしたものを台紙に並べるという作業をします。

まずは吉村さんがお手本を示していきます。

みんなは吉村さんが紙にハサミを入れていくのをじっと見つめます。

「たとえば、何かのモノを一つ扱いたいならば、こうやってモノの写真を一つ置いて、あと文章を書いて・・・、ってやり方があるよね。他にも、モノについてカタログみたいに説明するやり方もあるし。モノだけじゃなくヒトにもフォーカスしたいなら人が作業している様子の説明と印象的なカットを入れてもいいよね。」

レイアウトのサンプル例をつくりながら、雑誌記事の一般的な見せ方を解説していきます。

「上手くできなくてもいいのでまずはやってみましょう。全然失敗してもいいし、やってみないと始まらないのでね。」


まずは手を動かしてみる

まずは、自分が扱いたいテーマと念頭にある構想をもとに、吉村さんが用意したテキスト素材や写真を選んでいきます。

それらを切り貼りして台紙に並べるという作業をします。

用意した写真素材は、宇久の名所名跡の写真を拡大し、色んなサイズにしたものです。中には宇久とは関係のない海のイメージ写真もあります。既存の観光PR用の写真資料は、構図やパターンが似通っていたり、イメージが固定されてしまっている場合があるので、いままでになかった見せ方のアイデアが生まれるようにという意図があります。固定的なイメージにとらわれずに、自分たちが知る宇久島の海を発信してもらえればと思います。

レイアウト作業が始まりました。雑誌編集に携わったことがない人にとっては大きな一歩です。
「何かわからないことあれば言ってね」
「正解がわかりません」
「正解はないよ。わかりづらいとか伝わりにくいとかはあるけど。とりあえず今日は、自分の中に生まれたアイデアを言葉で説明できるようであればいいよ。」
手を動かす。そして考える。また手を動かす。その繰り返しの中から、どういうアイデアが生まれてくるのでしょうか。

続きは後編のレポートでは、レイアウトに込めたコンセプトの発表の様子をお送りします。


※1 レイアウトとは、テキストや図版といったさまざまな情報を一定のスペースの上に配置して構成することです。

※2 ラフとは、雑誌制作の際、最初に作る簡単なイメージ図のことです。テキストや写真・イラストなどの図版について大まかな位置や量を知ることで、その後の制作をスムーズにするために作ります。また、ラフを作ることで、雑誌全体をどんな雰囲気にするかについて決定させます。

※3 デザインという言葉はとても多義的です。例えば「何らかを造形・構成することで、それに意味を結びつけ、見出すこと」という複雑な意味から「何らかの形を造る」というシンプルな意味まで様々用途があります。ここでは後者の意味で用います。

CREDIT

取材・文
北 悟