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地域と世界は海でつながっている―第3回海洋教育こどもサミットin気仙沼(後編)

レポート

2018年11月16日、気仙沼市立鹿折小学校にて開催された「海洋教育こどもサミットin気仙沼」。後編レポートでは、サミット全体を通しての振り返りの時間をお送りします。

前編レポート→「海をもっと親しいものにしたい!」 中編レポート→「海洋教育を通して地域を作る

海とつながっているわたしたち

児童生徒たちは小学校、中学校、高校生ごとにグループに分かれ、ポスター・セッションの感想を述べました。そして、「つながり」という言葉をキーワードに、各グループごとに決めたテーマに沿って、それぞれの学びについて話し合います。話し合いを進行し、グループメンバーの言葉のやりとりを整理していくファシリテーターは各校の海洋教育を担当する先生方がつとめます。

気仙沼市立唐桑小学校と岩手県洋野町立宿戸小学校、中野小学校のグループです。まずは「各校の海洋教育にどのような関係性を見つけられるか」について言葉を交わしました。唐桑小学校の佐藤祐美子先生が、洋野町と気仙沼市の小学生が共通しておこなっている活動があることを示しつつ、一人ひとりに意見を聞いていきます。

「みんなは海にいいことをするために木を植えているんだけど、なぜ木を植えるのでしょうか?」

「海に栄養が増えるから」

「なぜ海が豊かになるのでしょうか?」

「森と海とが川でつながっていて栄養が流れ込んでいるから」

各校の活動につながりを見出した上で、「学びをさらに深めていくためには、どんなつながりが大切なのか」について考えます。児童からは「栄養が海にたどり着くまでのつながりを学ぶことが大切」、「木を植えたら森を管理する必要があるので、山側に住む人とのつながりが大事」、「海側と川沿いに住んでいる人みんなで協力して木を植えたい」、「人のつながりが大切」といった発言があがります。それらの発言を唐桑小の澤井ゆう子先生がホワイトボードに書いていきます。

最後に、サポート担当の気仙沼向洋高校と気仙沼高校の生徒がコメントを加えます。
「海と森と川が三角関係でつながっていて、それら3つを個別に綺麗にするだけでは足りなく、その過程を含めて全体を捉えていくことが大切だと思いました」、「学校単位の縦のつながりだけでなく、地域や社会との横のつながりが大事だと気づきました」。それぞれ、児童の意見を聞いてあらためて考えたこと、新しく気づかされたことをコメントしました。

このグループは、「つながり」というワードを使いながら、「木が増える→豊かな海」という原因と結果の間のプロセスには人が大きく関わっていることに注目した振り返りをしていました。


世界の海とつながる地域、人、自分

話し合い終了後の全体会にて、高校生がグループ内で交わされた意見を会場の参加者に紹介しました。
他のグループからも、「海からの恵みをもらっていることに感謝しながら海とのつながりを感じている」、「つながりとは循環していること」、「海を綺麗にすることは魚や動物に影響を与えることであって人間にもかえってくること」、「森・川・海に人間を加えた関係性を考えていくべき」等々が報告されました。

その他にも「海のゴミのうち家庭ゴミは自助努力で少なくすることができるから、世界中にその意識を広げたほうがいい」、「自然のことは海でつながり合っている世界全体で取り組むべき」など、世界とつながっている海の課題解決という視点からの意見がありました。


世代を超えて海を守る

また、「海の問題は解決に長い時間がかかりそうだが、自分たち次世代で海を守りたい」、「日ごろからの小さな積み重ねが大きな課題の解決につながるのではないか」という意見も。海の課題はスケールが大きいだけに、すぐに解決とはいきませんが、自分と海のつながり方を考え続けることが大事だと高校生のまとめから感じました。

各校で海洋教育としてやってきた体験や活動の意味を振り返り、そして、海の課題を解決するには、今後どういう「つながり」が必要なのかを考えた時間でした。


海とつながるのではなく、すでにつながっている

児童生徒たちの振り返りを受けて、東京大学海洋アライアンス海洋教育促進研究センター長の田中智志教授が、こどもサミットの総括を行いました。

田中教授は、海とのつながりということを考える際の2つの視点の重要性を強調しました。ひとつは「グローバルな視点からのつながり」、もうひとつが「人と生き物とのつながり」です。

グローバルな視点とは、各地域の問題が地域で閉じているわけではなく世界全体に広がっていることから、地域と世界とのつながりのことです。

また、人と人がつながること、人と生き物がつながることとは、そもそもどういうことなのかを問う姿勢の重要性を強調しました。

「私たちは利益のないところ、親しみのない間柄でもつながっています。人が倒れたら救助しますし、ウミガメなど海の生き物のことも心配します。おそらく、人間は他の生き物と奥深くでつながっているはずなのに、つながっていることをつい忘れてしまう。海洋教育は人と生き物がつながっていることを思い出す試みでもあります」

そして、最後に以下のようにまとめました。

「今日のことを今日だけで終わりにしないで、学校から帰ったら、何度も振り返ってください。それが深い学びにつながります。自分がやったことを考えなおしてみる。自分の発言をとらえかえしてみる。それが本当の学びにつながり大切な営みとなります」


海を仲立ちとして世界で活躍できるよう

サミット締めくくりに際して、気仙沼市立大島中学校の生徒から、お礼の言葉が述べられました。
生徒は、「今日の発表のために支えて下さった地域の方に、この場をお借りしてありがとうと言いたいです。今度は地域の方からありがとうと言われるよう中学生にできることをおこなっていきたいと思います」とお礼の言葉を述べました。

そして、「私は、普段の生活で地域と地域の方とのつながりの大切さを感じています。今日もまた多くの方とつながることができました。気仙沼の漁船員は七つの海へ出航していきます。海は全世界とつながっています。これから、海洋教育をはじめ学校で学んだことを活かし海を仲立ちとして世界で活躍できるよう頑張っていきたいと思います」と今後の決意を語ってくれました。


総括で伝えられた田中教授の示唆を受けて、児童生徒たちはどんな振り返りをしているでしょう。サミットを通してわかったこともあれば、さらに問いを深めたかもしれません。対話的に探究を深める学びの場としての、海洋教育こどもサミット。今後は全国での開催が目指されているようです。

CREDIT

取材・文
北 悟