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真っ赤じゃない「赤潮」-赤潮採取編

レポート

小学生の頃、海水が赤く染まる現象を「赤潮」と呼ぶと習いました。教科書には海が真っ赤に染まっている写真があったことを覚えています。ひょんなことから始まった、「赤潮」をテーマにした授業についてのレポート・前編です。

赤潮と私たち

写真:神奈川県葉山沖(遠藤茂撮影)

「赤潮って真っ赤なんじゃないの?違うの?」

5月上旬、東京大学理学部の茅根創さんから「小学校4年生を対象に、赤潮をテーマにした授業をしたいので、協力して欲しい」との依頼がありました。どんな内容なのかを聞くと、小学生が赤潮について間違った理解をしているので、正しいことを伝えたいのだと言います。「どういうことですか?」と聞くと、「赤潮は真っ赤なもので、魚にとって害があるものと理解している」のだと。思わず、「えっ!?真っ赤じゃないんですか?」と聞き返してしまいました。真っ赤なんじゃないの?違うの?というところから、授業作りが始まりました。

授業作りは、担任の先生と東京大学海洋アライアンスの野村英明さんと一緒に行うことになりました。野村さんは、東京湾の環境保全に関わる活動に長年携わっており、赤潮のことについてはスペシャリストです。専門的な内容については野村さんにお任せし、授業構成は田口がすることになりました。

ラフマップ

赤潮が発生しなかった時の東京湾の様子を表したラフ画:野村さんのメモをもとに茅根さんが作成


赤潮の採取に行く

授業内容の打ち合わせ時、茅根さんが言いました。「どうせなら、赤潮を実際に取りに行って、子どもたちに見せよう」と。それって、すごくいいアイデアですよね。実際に赤潮を見たことがある人は少ないと思うし、実際にその採取した海水を顕微鏡で観察してみるというのも素敵です。

東京湾に赤潮を採取に行ったのは、大雨が降った翌日で、赤潮採取にはベストの状況です。なぜなら、大雨によって多量の栄養分が川から海に流れるからで、その栄養分によってプランクトンが大増殖するからです。

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「こんな色なの?」

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葛西臨海公園近くの波止場から小舟に乗り、東京ディズニーランドの南側、背後に広がる海へ出ました。沖合に出て行くと青っぽさを残していた海の色が、徐々に変わり、通常見知った色ではなくなったのです。こんな色なの?と驚きました。

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そう、写真に写っている通り、「茶色の赤潮」だったのです。船が進むにつれて巻き上がる波も茶色。見渡す限りが本当に茶色い海で、遠くに見える東京ディズニーランドの華麗さと対照的でした。泥水とは明らかに違う茶色い海水。これも赤潮なのか……。

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この赤潮には多くのプランクトンが生きており、時間をあまりおかずに顕微鏡で見てみると、生きたプランクトンを見ることができます。赤潮採集から授業までには数日あり、子どもたちに生きたプランクトンを見せることは難しい。それでも、プランクトンの形がよく観察できるようにプランクトンを薬で固定!冷凍保存!

そして、この赤潮を使って授業を行うことになります。授業実践編へ続く

CREDIT

田口康大