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AKI INOMATAのフィールドノート③ ―仙台うみの杜水族館<後編>―

AKI INOMATAのフィールドノート③

生きものとの恊働作業によって作品制作をおこなうアーティストAKI INOMATAによるレポート第3弾。
仙台うみの杜水族館でおこなった展示を振り返ります。<後編>

前編はこちら> http://3710lab.com/418

オホーツクヤドカリにやどをわたしてみる

オホーツクホンヤドカリと私のつくった「やど」をプラケースに入れて様子を見る。

待つこと20分。思ったよりも早くその時は来た。

引越しをした。

サイズもちょうどピッタリのようだ。

透明なヤドに引っ越したオホーツクホンヤドカリ

そうこうしている間に、飼育員さんたちが、着々と準備を進めてくれていた。

まずは、ヤドカリと水槽の設備一式をバックヤードから移動する。

海水を注水。

バクテリアのついた黒い砂をいれ、濾過機、水温を一定に保つクーラー、照明を設置。

ヤドカリを入れて、水槽の裏側に黒色のシートを張る。

完成だ。

水槽のセッティングを行う飼育員さんの前田さんと阿部さん

水槽のセッティングを行う飼育員さんの前田さんと阿部さん

新しい環境に落ち着かないのか、そわそわとしているヤドカリたち。

しばらく見ていると、2匹が喧嘩をはじめてしまった。

「こういう時は隠れ家を入れて、様子を見てみよう」 と、飼育員の萬さんの発案で、隠れ家用の黒い大きな石をバックヤードから持ってきてもらう。

石をいれると、そのこちら側と、あちら側で、それぞれ縄張りを確保したようで、喧嘩はおさまった。さすがだ。

この時点で、21時。

飼育員さんたちは、みな残って、作業があるようだ。

私は、設営を終えた安堵とともに、少しひっそりとした夜の水族館を、一足先に失礼することにした。


公開初日

公開初日の仙台うみの杜水族館へ。

公開初日の11/1の朝の様子

公開初日の11/1の朝の様子

アイット・ベン・ハドゥをモチーフとした「やど」を背負うオホーツクホンヤドカリ

アイット・ベン・ハドゥをモチーフとした「やど」を背負うオホーツクホンヤドカリ

展示中のオホーツクホンヤドカリ

今回、生体を展示したのは、仙台うみの杜水族館の2階。「世界のうみ」ゾーンの手前にある「つながりギャラリー」という場所だ。

2015年7月1日にオープンした仙台うみの杜水族館のコンセプトは、「海と人、水と人との新しいつながりを『うみだす』水族館」。

東日本大震災後、日本は世界各国から沢山の支援と協力をいただいた。その思いを大切にすべく、「つながりギャラリー」には、仙台の友好都市8都市の市長、5か国の大使館大使から寄せられたメッセージが展示されている。

「やどかりの『やど』を通し、世界とのつながりを感じてもらえるような展示にしたい」という、仙台うみの杜水族館の意向で、今回、この場所で展示することになった。

展示水槽の前で

展示水槽の前で

無事に初日を迎え、ヤドカリたちの世話を、仙台うみの杜水族館のスタッフに託し、仙台を後にすることにする。

初の水族館での展示。海の生きものの飼育のプロがいることが、何より心強い。

次回は、より水族館側とのコラボレーションのようなことが出来るよう、新作のプランを考えながら、東京に戻った。

※その後、本展示は、テレビ番組「ミヤギテレビ(日テレ系列)News every (みやぎ版)」11/4放送 や新聞「河北新報」11/23(27面)に掲載されました。

CREDIT

取材・文
AKI INOMATA

PROFILE

AKI INOMATA
1983年、東京生まれ。東京藝術大学大学院 先端芸術表現専攻修了。
1983年東京生まれ、2008年東京藝術大学大学院先端芸術表現専攻修了。
主な作品に、3Dプリンタで都市をかたどったヤドカリの殻に実際に引っ越しをさせる「やどかりに『やど』をわたしてみる」など。人間以外の生き物のふるまいに人間の世界を見立てることで、生き物に私たちを演じさせてしまう状況を作り出す。
主な個展に、「エマージェンシーズ!025 AKI INOMATA/Inter-Nature Communication」 (ICC、東京、2015)、「犬の毛を私がまとい、私の髪を犬がまとう」(HAGISO、東京、2014)など。
You Fab Global Creative Awards 2014 グランプリ受賞。

http://www.aki-inomata.com/

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