コラム

海洋環境デザインプロジェクトとは

2023.06.30

環境デザイン海洋デザイン教育

みなとラボでは、人間と自然・海洋環境との望ましい関係を築くことを目指し、デザインの力を使って海洋環境の課題解決とともに、豊かな海の魅力を再確認し継承していくための「海洋環境デザインプロジェクト」を進めています。本記事では、プロジェクトの目的や柱となる二つの事業について説明します。

海洋環境デザインとは

これまで海洋環境の課題解決に向けては、主として科学的・技術的アプローチが取られてきました。しかしながら、課題解決のためには、それに加え、⽣活の仕⽅や道具の使い⽅、ものごとの仕組みなど、あたりまえと捉えている認識を変容し、よりよい将来を創造していくアプローチが求められます。「デザイン」には、そのアプローチを作っていく力があると考えています。

みなとラボは、海洋環境と人間との共生のためのデザインを「海洋環境デザイン」と定義しプロジェクトを進めています。

「海洋環境デザインプロジェクト」では、大きく二つの取り組みをおこなっています。国際海洋環境デザイン会議と海洋環境(教育)ワークショップです。

国際海洋環境デザイン会議

第一回国際海洋環境デザイン会議:2022/7/29

国際海洋環境デザイン会議は、海洋環境デザインのアクションを共有し、促進していくことを目的に開催するものです。世界中の海洋環境デザインの事例レポート、国内外のゲストによる海洋環境デザインについてのトークや、アクションを作るためのワークショップなど、参加者とともに海洋環境デザインのあり方について議論します。デザインや海洋、教育の専門の有無によらず、多様な参加者同士でこれからの海洋環境と人間の共生のあり方を考えていきます。毎年秋に開催します。

海洋環境デザインワークショップ

海洋環境デザインワークショップは、海洋環境デザインのあり方を実践的に探り、持続可能な世界を形作る担い手の育成を目指すものです。デザイナーや建築家、アーティストや科学者などを講師とし、実践的なワークショップを実施します。海に遊びながら「デザイン」がどう立ち現れるのかを探るもの、ものづくりの源流にアプローチするもの、海そのものの楽しさや魅力を引き出すものなどなど。もちろん海について学ぶことも前提です。もっと言えば、それらは「海を知る」ことの本当の意味を探ろうとするものでもあります。

また、デザインそのもの楽しさや可能性を伝えることに主眼を置いた「海洋環境デザイン教育」も同時に実施しています。幼児教育や小学校、中学校などで実施します。

海洋環境デザインという運動

海洋環境デザインとは絶えざる運動のようなものだと考えています。海が一定ではないように、私たちと海との関わりも一定ではありません。時代や場所によって望ましい関わりは変わります。その都度、海と私たちとの関係は編み直され、デザインしていくものです。そうでありながら、忘れてはいけないことは、本来的に海と私たちには深いつながりがあるということです。そのつながりが見えなくなり、失われてしまっているのが今なのかもしれません。

だからこそ、海洋に関わる問題が多く生じています。今あらためて、海と自分たちとのつながりを探り、海・自然環境との共生のよりよいあり方を形作ること、持続可能な世界を形作ることが求められています。みなとラボでは、海洋環境デザインのプロジェクトを通じてこのことに向き合っていきます。

文:
田口康大