海と人とのかかわりを探究するvol.3【記事執筆編】

2020.02.25

東京大学では、海と人とのかかわりを探究するための沖縄研修プログラムを実施しています。過去に東京大学附属中等教育学校の授業として実施されていた講座がベースになったプログラムです。高校時代にその講座を受講し、現在は大学生となった卒業生4名によるレポート第3弾をお送りします。

日本唯一の島マガジン『島へ。』

今回のプロジェクトで、卒業生である私たちが執筆を行うこととなった雑誌『島へ。』(海風舎)は、日本の様々な島の暮らしや特産品、新たな活動や魅力を、美しい写真やオリジナリティ溢れるイラストを用いて取り上げています。見ているだけで島に行きたくなるような内容ばかりです。そのような同誌108号(2019年12月号)の第2特集を、私たちが執筆しました。


作成行程の紹介

まずは「何を題材に組み込むか」「どういったレイアウトで雑誌を作成するか」など大きな方針を、今回の記事の舞台である池間島へ向かう前に決めました。
その後、池間島では、卒業生4人がそれぞれ、作業管理担当、インタビュー担当、カメラ担当1、2というように、役割を分担して活動を行いました。もちろん、インタビューも撮影も全員が行いましたが、特に力を入れて取材したい場面が訪れたときに、役割分担を行っていれば、自分が何を最優先して行うべきかが明確になります。そのおかげもあって、池間島ではスムーズに取材が行えました。
島での取材を終えると、いよいよ記事の執筆です。卒業生が個々で担当するページを作成し『島へ。』編集部に提出すると、編集部から修正が入って返却されます。その際、追加取材が必要になったら、電話やメールで再度インタビューを行い、追記や修正を行い再度提出、最終確認の後に校了です。これが、雑誌を作成した際の大まかな流れです。
私は今回、民泊での生活や、池間島の商品開発の後半部分を書くページを担当することになりました。写真は自分たちで撮ったものを使い、取材内容は、メモやレコーダーを用いて記録した物を参考にし、執筆する内容をまとめていきました。


雑誌を作成してみて

私は、できあがった雑誌を手にしたとき、感動で思わず少し震えてしまいました。こんな風に自分の記事が形になるとは思いませんでした。記事を書くことは私にとって初めての経験で、修正指示も沢山あってしょげてしまったこともしばしば……。ですが、そうして文章が記事としてどんどん出来上がっていくのがとても嬉しかったです。雑誌を執筆していて特に楽しかったのは、写真やインタビュー内容をまとめた紙を見返していたときです。そうして池間での日々を思い出す時間が好きでした。
本誌でも述べた通り、私はこれまで、雑誌を作成するというのは、文章を書くことがメインだと考えていました。しかし実際に作成してみると、写真など文章以外の材料がとても重要で、それらが文章を書くときに島の様子を思い出させてくれる、大事な鍵になるのだと知りました。何より、これらの経験ひとつひとつが自分にとってとても良い刺激になったと思います。(岡本)


編集後記

4名の卒業生全員が、商業雑誌の執筆はもちろん初めての経験。それでも、自らが課題別学習で培ったスキルや視点を活かして島での取材に取り組み、記事執筆ではプロの編集者の修正のお願いにもきびきびと対応していました。「記事を執筆する」という目的のもとで見た子どもたちや島の様子は、卒業生ひとりひとりのこれからにつながる、貴重なシーンとして残ることでしょう。(加藤)


■本プロジェクトの実施について

本プロジェクトは公益財団法人日本財団の助成により東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センターが実施するものです。

文・写真:
岡本 尚子
編集:
加藤 大貴