チェルトーザ・イニシアチブの展示「The Presence of Absence」会場で迎えてくれたサラ・K。
待ち合わせをしたのは、ミラノ郊外のチェルトーザで行われていたCertosa Initiative(チェルトーザ・イニシアチブ)。以前はランブラーテ地区で行われていたVentura Lambrate(ヴェントゥーラ・ランブラーテ)の流れを汲み、オランダ系のデザイナーが多く集まる展示会場だ。ここで彼女は「the presence of the absence」と題した展示をしているというが、インビテーションには情報がほとんどなく、一体どんな展示なのだろうと思いながら現地に向かった。メインの展示会場を抜け、小部屋が並ぶオフィスゾーンへ。「The Near Future」とプレートに書かれた部屋の前で彼女に落ち合うと、まずは中へ入るように案内された。
小さなオフィスの部屋の中は空っぽで何もない。もしかして手違いで展示品が届かなかったのだろうか?と思い、サラに困惑の表情を向けると、窓に書かれたテキストを読むよう促される。「この部屋は近未来です。ここでは物が無いことが好まれ、物質主義は終焉を迎えました。2022年、世界はものづくりの飽和状態に達したのです」と書かれている。さらにこの部屋を立ち去る前に、物欲から解放され、消費社会から脱することを目指して欲しい、来場者はこの可能性のある未来について考え、その実現に貢献するよう求められるという仕組みだった。なんとも衝撃的な「The Presence of Absence(不在の存在)」。デザインウィークで次から次へと発表される新作を見続け、消化不良気味になっているところへ、強烈なパンチで目が覚めたような気持ちにさせられた。
Q スーパーサイクラーズの成り立ちについて教えてください。
A 2011年のミラノデザインウィーク期間中、サステナブルデザインに対してモダニストの視点でアプローチするため、スーパーサイクラーズをローンチしました。その年はできる限りの展示会場を巡り、このテーマに相応しいデザイナーを探し回ったのです。そして翌2012年のミラノで開催した「SOS Supercycle Our Souls」展では、新聞紙を圧着して固めた「Newspaper Wood」や、使い捨てのビニール袋を使ったテーブルウェア「Ghostware」などを発表し、多くの注目を集めました。今でこそミラノデザインウィークでもサステナビリティが声高に叫ばれていますが、この当時は誰もそのようなことを訴えてはおらず、これはサステナビリティとデザインについての初めてのエキシビションだったと思います。
Q 根幹となるアイディアはどういったものだったのでしょうか?
A デザイナーは問題解決をするための訓練を受けていますから、最大の問題に取り組むのが私たちの仕事であるべきです。今日の環境問題の多くは、先見性の欠如、つまり、解決策の影響を深く考えずに、近視眼的に解決策を見出すことによって引き起こされています。私たちはすべてのデザインソリューションがサステナビリティを当たり前のこととして、配慮に満ちた方法で未来を組み込む方向に変わっていくことを望んでいます。