レポート

丸の内キッズジャンボリー2018で「海のデザイン研究所」を開催

2018.08.27

イベントものづくりワークショップデザイン

3710Labは、東京国際フォーラム主催イベント「丸の内キッズジャンボリー2018」にて「海のデザイン研究所」を開設しました。この研究所は、多くの災害が続いている今、海と私たちの関係を考えるためのきっかけづくりという目的もあります。 450人を超える方々にご参加いただき、とても有意義で楽しい研究所となりました。その様子の一部をお届けします。

海のデザイン研究所

2018年8月14〜16日に東京国際フォーラムにて行われた「丸の内キッズジャンボリー2018」。毎年夏休みの大人気イベントに、3710Labは出展しました。用意されたスペースは警視庁と消防庁のブースの間の大きな空間です。人気コンテンツに挟まれながら、海のデザイン研究所を設立しました。

海のデザイン研究所では、ワークショップと二つの展示を行いました(概要はページ下方に記載)。それぞれ、海のデザインがテーマになっています。
ワークショップでは石巻工房の協力を得て「海のいきものづくり」を実施しました。様々な形の木片を組み合わせて、自分だけの「海のいきもの」を作ります。

実際に存在する生き物を作る子もいれば、架空の生き物を作ったり、見たこともないような、それでいて妙にかっこいい生き物を作る子もいました。

作った生き物には、用意されているペンで模様を描いたり、色を塗ったりします。子どもたちには「海をかこう」「もようをかこう」と題されたシートを配布してあり、思い思いに想像を膨らませながら、生き物をデザインしていました。

模様を描き、色を塗った後には、「いきものカード」に名前、すみか、特徴を書き入れます。どんな生き物なのかをさらに具体的に想像してもらいました。生き物と生態との関わりに気づいてもらうきっかけづくりです。

生き物づくりでは、大人も子どもと一緒になって熱中していました。どんな場所にすんでる?こんな場所だから、こんな形なんじゃない?深海に生きる魚だから、きっと目立つ色だよ。こっちの色よりも、あっちの色の方がかっこいいよ、などなど。生き物と海との関わりについて、あちらこちらで子ども同士や大人と子どものコミュニケーションが生まれていました。海洋教育に対しても提案性のあるワークショップだったと思います。

海のデザイン研究所に置いてあった家具はすべて石巻工房製です。素敵なテーブル、ベンチ、トレイやブックスタンド。なかでも人気だったのはAAスツール!横から見るとアルファベットの「A」にも見えるこのスツールは、いくつかを重ね合わせたり、ばらして使ったり、使う人の想像次第で新しい使い道を発見することができるものです。子どもたちは重ねたり、ばらしたりと遊びながら座ることを楽しんでいました。

大人気だったワークショップの横で、ひっそりと展示をしていたのは、宮城県七ヶ浜町でかつて伝えられてきた民話です。東日本大震災に襲われた街で語り継いでこられた民話。展示した民話を語った人はすでに亡くなっていて、聞くことはできません。海の近くで生活してきた人々が語る民話には、海と関わっていくための知恵が盛り込まれているように感じられ、そのもの海のデザインと言えるかもしれません。今回、「みやぎ民話の会」の協力を得て、宮城県外にてはじめて展示することができました。

もう一つの展示は、東京大学の田口康大と映像作家の福原悠介が行なってきた「対話インタビュー」の映像展示です。宮城県石巻市や岩手県洋野町での対話インタビューの映像を展示しました。

今回の「海のデザイン研究所」は、海と自分たちとのつながりを感じてもらえればと思い開催しました。東日本大震災や異常気象等による多くの甚大な災害ののちに、生き物や物語を結びつけながら、海と自分たちとのつながりをデザインすること。そのためのささやかな取り組みでした。


多くの方々のご協力を得ながら、開設することができた「海のデザイン研究所」。研究所はこのイベントのみではなく、今後も続けていきます。研究所の活動については、3710Labにて2018年度発行予定の冊子で掲載予定です。


概要

海のデザイン研究所では、一つのワークショップと二つの展示を行いました。
■ワークショップ「海のいきものづくり・ワークショップ」
2011年の東日本大震災をきっかけに「地域のものづくりの場」として誕生した石巻工房とコラボレーションし、「自分で考える・つくる・なおす」を子どもたちに伝えるためのワークショップを実施。木製ピースで自分だけの海のいきものを作り、そのいきものの名前や住んでいる場所、特徴などを想像してカードを作成。
■展示①「2011.3.11 大津波に襲われた沿岸集落で、かつて聞いた《いいつたえ、むかしばなし、はなし》」
昔話・伝説など、その土地で語り継がれてきた「民話」。今回は「みやぎ民話の会」の小野和子さんが、震災以前に宮城県七ヶ浜町で聞いた話の紹介・宮城県外でははじめての展示。
■展示②「対話インタビュー・プロジェクト」
「語り手」と「聞き手」両方にビデオカメラを向けておこなわれる「対話インタビュー」。東京大学の田口康大と映像作家の福原悠介が、小・中学校や高校で特別授業として実施してきた取り組みの映像を展示。
主催:一般社団法人3710Lab
協力:石巻工房、せんだいメディアテーク、みやぎ民話の会、小野和子、小田島利江、合同会社スタジオ・プントビルゴラ
本事業の一部は公益財団法人日本財団の助成を受けて行いました。

文:
3710LAB