2023年3月21日、みなとラボは 『国際海洋環境デザイン会議 Side:Education』を開催しました。
本会議は、昨年7月に開催された『第一回 国際海洋環境デザイン会議』をもとに教育にフォーカスしたものとなり、みなとラボが日本各地で行った海洋環境デザイン教育のワークショップの事例紹介とあわせて、2023年度の事業計画となる「海洋環境デザインワークショップ」およびスクール構想について発表いたしました。
みなとラボによる2022年度の活動報告
会場となったのは、渋谷ヒカリエ 8/ COURT。渋谷の街を一望できるオープンなスペースで、プロジェクトに関わったデザイナーや学生たちが登壇しました。
会議のスタートは、みなとラボ代表の田口康大より、2022年度の活動報告として「教育」「デザイン」「編集」と3つの視点で進められてきたプロジェクトの紹介から。
「教育」視点では、広島県尾道市浦崎町で行った「うらさきZINEをつくろう!」や、香川大学附属高松小で子供たちと作った「かたちともようで「海ごみ」を考えよう」、また愛媛大学附属高校・理科部のプラガールズたちとの「PLAGIRLS MAGAZINE」など、教育プログラムやワークショップの実施、教育コンテンツの開発や実践支援について紹介しました。
また「編集」視点として、写真家の視点から海について考える「See the Sea」や、人気書店が選ぶ海をイメージした本を紹介する「Read the Sea」、海を理解する過程にフォーカスしさまざまなアウトプットを紹介していく「ZaBoom」も2022年度スタートした事業として紹介。
「デザイン」の視点は、海洋環境問題に対して“デザイン” の分野からどのようなアクションができるのかを話し合い、社会への実装を目指す場として昨年開催された「国際海洋環境デザイン会議」が大きな柱となっています。
クリエイティブ・ディレクター笠原千昌さん(サン・アド)「自分のまちの『おさんぽBINGO』を作ろうプロジェクト」
続いてプログラム前半では、海洋環境デザイン教育ワークショップの実施報告として2つのプロジェクトをピックアップし、制作に関わった方に登壇いただきました。
一つ目は、「自分のまちの『おさんぽBINGO』を作ろうプロジェクト」を担当した笠原千昌さん(サン・アド)から、「暮らしと海とのつながりを探るデザインの仕掛け」について説明。宮城県の気仙沼、香川県の小豆島、鹿児島県の与論町と、それぞれの地域の特性を生かした取り組みとなり、地元の人との関わりから新たな魅力に気づく楽しみなどのアプローチについてリポートされました。
長崎県立長崎東高校のプラスチッくじら『解決できなかったわたしたちの問題 〜海とごみと高校生〜/ペットルと黒いかげ』
続いて登壇してくれたのが、長崎県立長崎東高校で「プラスチッくじら」として活動する高校生たち(登壇時)。みなとラボと共に制作した書籍『解決できなかったわたしたちの問題 〜海とごみと高校生〜/ペットルと黒いかげ』について、制作にかけた思いや、活動する中で見えてきたさまざまな現実についてなど率直な言葉で伝えてくれました。
途中からはコンテンポラリーデザインスタジオwe+の3人も加わり、「終わらない問題にデザインは何ができるのか」をテーマにトークセッションも開催。意義ある活動をより広く知ってもらうために今できることは何かなど、学生たちが解決できないと感じたさまざまな課題について、会議に参加した人も共に考える時間になりました。
2023年度事業「海洋環境デザインスクール構想」の紹介
会議後半は、2023年度にみなとラボが行う「海洋環境デザインスクール構想」についてのトークへ。なお、このプロジェクトは、海洋環境や海洋教育にデザインの力でアプローチし、 先導的なアクションを起こしていける人材を育成することを目指すプログラムとなり、 デザイン分野のみならずサイエンス、教育などのさまざまな分野のプロフェッショナルが、ワークショップを企画・実施していくものとなります。
倉本仁さん、we+によるワークショップの概要説明
会場では既にプログラムの開発がスタートしている2組のデザイナーから、概要説明が行われました。プロダクトデザイナーの倉本仁さんは海洋環境とのプリミティブなつながりを体感し取り戻すことを目的にした無人島ワークショップについて、またコンテンポラリーデザインスタジオのwe+からは、ローカルな海洋資源の新たな可能性を探るワークショップについてと、海の魅力を知る新たな視点ともなるプログラムについて紹介されました。
「デザインと科学で海と生きる」深澤直人さん
そして会議の最後に登壇いただいたのが、プロダクトデザイナー深澤直人さん。ファシリテーターとしてみなとラボの佐藤久美子も登壇し、「デザインと科学で海と生きる」をテーマにトークを行いました。「私たちは海を知っているようで知らない」という言葉と共に、海を体験することの重要さ、そこから立ち上がる思いについて話が繰り広げられました。
学生からデザイナーまでが参加し、海洋環境について、また海が持つ多様な魅力について、さまざまな視点から海を知ることができた本会議。それぞれのプロジェクトがさらに進んでいくことで、より広く大きなつながりを生み、海とともに生きる未来への希望を新たに閉幕しました。
《 開催概要 》
- 名称:
- 国際海洋環境デザイン会議 Side:Education
- 開催日:
- 2023年3月21日(火・祝) 13:30~16:15
- 開催形式:
- 現地開催/オンライン配信
- 会場:
- 渋谷ヒカリエ 8/COURT(東京都渋谷区渋谷 2-21-1 8階)
- 参加人数:
- 来場者50名、オンライン参加75名
- 主催:
- 3710Lab(みなとラボ)
- 助成:
- 日本財団