コラム

Ocean Blindness(オーシャンブラインドネス)とは?

2024.05.05

環境デザイン海洋教育

広く知られるようになったきっかけ

Ocean Blindess(オーシャンブラインドネス)という言葉が広く知られるようになったのは、アメリカの海洋生物学者であり探検家であるシルヴィア・アールさんが使ったことにはじまります。シルヴィアさんは1998年、タイム誌にて最初の「地球のヒーロー」に選ばれるなど、世界の海洋研究をリードしてきた方です。

「国連海洋科学の10年」との関係

2021年からは「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」がはじまりました。SDGs14「海の豊かさを守ろう」をはじめ、関連するSDGs の達成にむけて、2030年までの10年間で集中的に取組むことが目指されています。

海洋教育は、この取り組みにおいても重要なアクションとなっています。UNESCO-IOC(ユネスコ・政府間海洋学委員会)では、世界全体で海洋教育を推進するために2017年に「Ocean Literacy for All: A toolkit」を発刊しました。全世界の教育者や学習者が、海洋について理解するためのツールや手法、リソースを提供するものです。その目的は、私たちと海との関わりについての理解を育むこと。UNESCOでは、私たちと海との関わりについて理解し、実際に責任あるアクションを行える能力を、Ocean Literacy(海洋リテラシー)と定義づけました。

UNESCOが海洋教育と海洋リテラシーを推進する際に用いたのが、Ocean Blindnessです。

私たちの多くは、海が人間にもたらしてくれるものに対し、私たちの日々の活動が及ぼす影響について気にすることなく暮らしています。また、海が私たちの暮らしにどのような影響を与えているかも認識することはありません。医療・経済・社会・政治・環境に至るまで広範囲にわたる海の重要性を、多くの人々はすっかり忘れてしまっているのです。「ocean blindness」と呼ばれるこの現状を打破するには、魅力的な海洋教育を通して「人間と海との結びつき」を学ぶ機会を増やすことが必要です。(UNESCO『Ocean literacy for all: a toolkit』(2017)より意訳)

Ocean Blindnessが指し示すもの

Ocean Blindnessとは、「海と自分たちの暮らしとのつながりの想像力が失われている」という状態を指し示す言葉と言えます。みなとラボでは、Ocean Blindnessについて検討をかさね、想像力の喪失によって三つの状態が生まれていると整理しました。海への無関心、無視、無知です。

つながりを想像できないことは無関心を引き起こします。深刻な海洋問題が起きていたとしても、つながりを想像できなければ、それは無視されてしまいます。海について知ろうというモチベーションにつながらず、無知な状態が起こります。

それはまた、海の持つ可能性についても私たちはまだ知っていないということでもあります。海に関わる国際的なアクションにおいても、Ocean Blindnessの状況を深く理解することが求められています。

みなとラボが出版した書籍『OCEAN BLINDNESS 海洋環境の未来』詳細はこちら:https://3710lab.com/news/7172/