レポート

気仙沼

こどもたちが描く、未来で海と生きる方法:「第11回海洋教育こどもサミットin気仙沼」報告【前編】

2023.03.14

学校イベント

2022年11月25日(金)に「第11回海洋教育こどもサミットin気仙沼」(以下、こどもサミット)がオンラインで開催されました。

こどもサミットは、「海にたいする/についてのこどもたち自身の声」をこどもたち同士で模索し、言葉にし、より合わせる場です。2022年の秋の午後、東北地方の4県(岩手県、宮城県、山形県、福島県)から31校(うち小学校21、中学校8、高等学校2)の子どもたちがオンラインで集まりました。

学校にすっかりICT機器が定着したことで、こどもサミットもオンラインでの開催が一昨年から引き続いています。主催の気仙沼市教育委員会では、ウェブ会議ツールを駆使し、運営のスリム化もめざして準備されたそうです。同時に、地球上のどこでも繋がることができる時代でも、海の学びはローカルな場と結びついています。だからこそ、東北地方で育ち学ぶこどもたちが語り合う意味がある。オンライン実施が定番化した東北でのこどもサミットには、そんな思いも静かに流れているのかもしれません。

プログラム

■ 開会行事 (進行:宮城県立気仙沼高校
開会宣言 (こども代表:気仙沼市立鹿折小学校)
あいさつ (日本財団)
サミット全体のねらいの共有 (宮城県立気仙沼高校)

■ 実践発表セッション (進行:各グループの中学生)
・8グループに分かれての発表と質疑
・発表10分+質問/感想・コメント5分

■ 深め合いセッション (ファシリテーター:宮城県立気仙沼高校生)
テーマ 未来で「海と生きる」ために、必要なことはなんだろう?

■ 閉会行事 (進行:宮城県立気仙沼高校)
まとめの言葉 (東京大学・教育学研究科、海洋教育センター 田中智志教授)
閉会宣言 (こども代表:洋野町立大野中学校)

海洋教育のイベントとして、準備から本番まで誰もが大切にしたことが、二つありました。一つ目は、できるだけこども中心の場にすること。そして二つ目は、ジェネレイティブ(生成的)な対話の場にすること。ライブ感のある対面のイベントに比べて、オンラインではこどもたちの自由な発言や思わぬ交流に制限がかかりがちです。こうしたことを場の設計で超えることを願って、当日、司会進行や議論のファシリテーションを担ったのは中学生・高校生でした。

中学生が司会した発表セッションは、グループに分かれて海洋教育の成果を発表しました。「授業で地域の海の実際の姿を知った」「地域の海の未来を考えて、こんなことをしたい」と、時には数年間の学習の成果をそれぞれが発表します。さらに、グループは小・中・高の学校段階混合。高校生の専門的な発表に小学生から質問が飛んだり、小学生の発表に中学生視点の情報提供がなされたり、さまざまな場面がありました。海をめぐる問題意識や、海についての関心、海に向ける思いを、それぞれ異なりながらも共有するからこそ、コミュニケーションが生まれました。

議論と対話のセッション「学びの深め合い」は、海にかんする問題意識心・関心・思いを交わしながら深めていく場です。テーマは「未来で『海と生きる』ために必要なことはなんだろう?」という問いでした。

海についての対話と議論では、目の付け所が一人一人の関心によって異なり、それぞれのユニークさが前面に。「海に関心をもつことが必要じゃない?」「こんなプラスチックがあれば・・・」「街や森も大切にしよう」。テーマも分野も、表現方法もさまざまに異なる声が聞かれました。なかには「便利なもの(製品)は二酸化炭素を多く排出するだろうから、便利なものに頼っていてはいけない」といった、どきっとする発表も。

そんな一人一人の異なった思いをきき、対話を成立させるとは、一体どのようなことなのでしょうか。このセッションの立役者であり、ファシリテーションを担った高校生たちにも話を聞きました。彼らの声は、次の記事で詳しくお伝えします!

取材・文:
3710Lab