レポート

大阪府委託事業:環境教育プログラムの開発・実施

2022年度成果報告

2023.05.20

学校行政・自治体環境海洋教育

みなとラボは、2022年度、大阪府からの委託を受け、環境教育プログラムの開発及び実施を行いました。開発したのは、河川や海洋環境をテーマとした3時間分の授業モデルプランです。

モデルプランA

廃棄物の処理や分別の意義について学習する4学年を対象に、児童がもつ自地域への興味関心から、河川・海洋環境へと丁寧につなげることを目指したプログラムを作成しました。

「ごみコレクション」を探して記録するゲーム的課題を設定し、自地域についての知識や観察が役立つ題材であることから、「こんなところにこんな ごみが」「ここには沢山のごみが集まっていた」と、驚きをもって身近な風景を見直すことを可能とするものです。さらに、「こんなところになぜこのごみがあるのだろう?」「誰が、なぜ、手放したのだろう?」と戶惑いを感じる時間や想像する時間を設けることを、プログラム内で 重視しています。

モデルプランB

海の環境が複雑な生態系によって保たれていること、海の環境の健全さが多くの生き物や人にとっても価値があることに目を向かせることを狙いとしました。

海が身近ではない地域の子どもたちは、一般的に、「浜辺にごみがあるか」「水が綺麗か」など表面的な海の綺麗さに目を向けやすいと考えられます。表面的な理解ではなく、より複雑な生態系へ目を向けるための教材として、藻場を取り上げます。その際、「藻場=守るべきもの」から出発するのではなく、「藻場はなぜ大切なのか」を深く考えさせることを重視しました。「なぜ」という問いは、生態系や環境問題の発生メカニズムへの知的理解によっても回答可能ですが、情緒的・道徳的な感覚によっても応答できるものです。理科と特別の教科・道徳とを射程に収められるよう、柔軟な問いとワーク設定としました。

モデルプログラムC

単体で活用することは想定しておらず、プログラム A または B と連続させることで文脈を作るものとして用意しました。

教材として用意している動画では、登場人物が、「直接行動」ではなく「間接的な態度・考え・行い(日々の暮らし)」を重視していると述べています。 授業では、活用動画の登場人物をある種のモデルとしつつ、自由に考えるワークを設けました。登場人物のモデルの言葉に倣い、回答の幅を広く設けています。その際、「地球の乗組員(一員)として生物や自然環境のことを思って大事にしていること(行動や考え)」を「地球の乗組員プロジェクト」と名づけることで、以降の指導の際にも振り返りや想起がしやすいようにしました。