来春、開催を予定している海洋教育ワークショップのリサーチとして、写真家・津田 直と行ったフィールドワークの中間報告。フィールドワークや対話を重ね、その中で見えてきた視点をみなさんと共有していきます。
概要
・ 「海の対話プロジェクト」の第一弾として、人類が自然・海とどのような関わりをしてきたのか、その源流を探り、共生のあり方を育むためのプログラム開発をおこなう
・ 北海道オホーツク沿岸にてフィールドワークを行い、かつてそこに暮らしていたオホーツク人の存在に出会い、彼らのかつて居た場所に立ってみることで、ひとつの視点を見出す
目的
・海そのものに触れることを起点とするのではなく、海と結ばれてきた関係性を見直す。
・各自の目で捉え直した海へのつながりや気付きを共有し、再び「海」と出会う機会とする。
・一過性のものではなく、自身の中で育てていける感覚を養う。
フィールドワーク
2023年5月19日〜24日にかけて、北海道 オホーツク、根室沿岸にてフィールドワークを実施。紋別から沿岸沿いを南下し、根室までの間にいくつかの海岸を訪れ、海や海岸、海藻や生き物の様子をリサーチ。現在の海の姿を体感しました。その後、「常呂遺跡」「 モヨロ貝塚 」にて、オホーツク人が暮らしていた場所や住居跡に立ち、彼らと海との関係を想像しながら海を眺めました。合わせて資料館にて資料や遺跡からの出土品を見学し、海洋民としての暮らしや信仰のあり方にも触れました。
その後、根室海峡に向かって細長く突き出た砂嘴である野付半島にて自然環境や動植物について散策しながら見聞きし、根室へ移動。根室は森と海の相互間の影響を感じられる場所であり、よく発生する根室特有の霧によって生み出された湿地帯を歩くことで豊かな土壌が何千、何万年とかけてつくられてきたこと、そうした圧縮された時間の層が今ここにあることを体感できました。それを経て、海へ再び出てみると、より森、山、川、海のつながりを感じられました。さらに数千年の時間をかけてできた春国岱の砂州に広がる森林を歩き、変化していく森林環境を目にしました。
その後、津田は8月に根室を再訪。根室半島で見つかっているオホーツク文化期の遺跡を辿り、そこに立って海を眺め、新たな視点を探る機会を得ました。これらの体験を通し、 海を取りまく俯瞰的視点を持つきっかけを生み出し、自然との共生を目指す道を考えていきます。
第二回 国際海洋環境デザイン会議
フィールドワーク後、自分たちが体験した気づきや感覚が開いていく様子をどのように伝え、共有していくか何度となく対話を重ねていきました。第二回 国際海洋環境デザイン会議、10月7日(土)のプログラムにて現時点での考えをトークという形でみなさんに共有します。
また、会場内にはフィールドワークとその後に再び訪れた根室で撮影された写真5点の小展示「Starting from Lines Drawn by Nature(引かれた線の上に立つ)」をご覧いただけます。
写真家・津田 直と3710Lab代表・田口康大による
トーク「Oceanscape As Dialogue」
写真家・津田直とともに、海と人、その関わりの原点を探るーー。我々は、フィールドワークを北海道・オホーツク海沿岸で実施。海、森、川、遺跡を訪れ、いにしえの人々が暮らした地に立ち、海を眺めました。過去に引かれたラインの上に立つことで見えてくる風景がある。この先、そのラインをどう現在へと繋げていくべきか。国内外のフィールドに赴き、撮影をしてきた写真家・津田直とみなとラボ代表の田口が語ります。
参加申込:https://forms.gle/G4Bng1KbnPBZFh9Z8
ワークショップ
2024年春、根室市内にて実施予定。ワークショップの様子はその後、書籍にまとめる予定です。
実施者
実施者 津田 直、東 さおり(アシスタント)
主催 みなとラボ(田口康大、小倉快子)
助成 日本財団
- Top Image:
- 津田 直
- 記録:
- みなとラボ(小倉)