レポート

キャラバン第二弾「図書館は海の入口」レポート!

2024年度成果報告

2024.07.31

Read the Sea地域海洋教育

2024年3月にみなとラボ出版から刊行した『個人書店が選ぶ、いま読んでほしい 海の本』。漁師町の書店、海がない土地の店主、瀬戸内海や沖縄の海を望む書店など、全国37の書店主が海に関する選書をし、140点以上の書籍と店主によるコメントが集まりました。その本を携え、全国へみなとラボも出航です!キャラバン第二弾は、全国5ヶ所の図書館で「海の本コーナー」を実施。『個人書店が選ぶ、いま読んでほしい 海の本』の中から、各図書館が気になった本をピックアップしてくれました。さらに、各館の蔵書の中から司書さんが独自にセレクトしてくれた海の本を加えた特別コーナーが展開されています。
今回、みなとラボスタッフが新潟、佐渡、石川へお伺いした様子をお届けします。

会場・会期

『個人書店が選ぶ、いま読んでほしい 海の本』
出版記念キャラバン第二弾「図書館は海の入口」

聖籠町立図書館(新潟)6月29日(土)〜8月30日(金)
佐渡市立中央図書館(佐渡)7月2日(火)〜7月31日(水)
佐渡市立小木図書館(佐渡)7月2日(火)〜7月31日(水)※会期8月末まで延長!
石川県立図書館(石川)7月9日(火)〜7月19日(金)
読谷村立図書館(沖縄)6月28日(金)〜7月24日(水)

開館時間については、各館へお問合せください。会期が予期せず変更される場合がございます。ご了承ください。

聖籠町立図書館(新潟)

入口を入ると目に飛び込んでくる黄色いパラソルが印象的な「海の本コーナー」。司書や職員のみなさんによる色とりどりの切り絵がにぎやかで、大きく展開してくださっています。『個人書店が選ぶ、いま読んでほしい 海の本』からたくさん選んでくださっていますが、もちろん聖籠町立図書館ならではの選書も。『個人書店が選ぶ〜』にも登場してくださった司書の佐藤彩子さんにご挨拶をしつつ、少し立ち話。にぎやかな海の本の中で、ふっと手にしてくださったのは東日本大震災で大切な人を亡くした人々の悲しみに宗教がどう向き合うかを描いたエッセイ『黒い海の記憶』(岩波書店)。

佐藤さんも何度もおっしゃっていましたが、たのしめる絵本や物語がある一方、神話や化学、災害が学べるものなど、海は本当に分類を横断しているということ。まさにそのようなコーナーが各所で展開され、随所に海を感じられる仕様になっていました。ながめるだけでもワクワクします。嬉しいことに、『解決できなかったわたしたちの問題 〜海とごみと高校生〜/ペットルと黒いかげ』は貸出中とのこと。

佐渡中央図書館(新潟・佐渡)

郷土資料が何列も並ぶ棚の入口に、海のコーナーが展開されていました。「See the Sea」でもご登場いただいた佐渡在住の梶井照陰さんの写真集ももちろんありました。こちらも嬉しいことにちょうど佐渡総合高校と制作した『Everyday Sado』は貸出中とのこと。島の子の活動は、みなさん興味があるようです。

児童書のコーナーでは、「海と遊ぶ」という絵本のコーナーが。海に馴染みのある子どもたちが多いのか、おしばを作りたいと本を見に来たりしているそう。海と遊ぶをまさに体現している子どもと、それに応える司書さんたちの姿が感じられました。

小木図書館(新潟・佐渡)

佐渡南端に位置する小木(おぎ)は港町です。ということもあり、北前船や海運についての書籍が充実していました。すぐ近くの港では、たらい舟観光もできますよ。7月末までだった会期が8月末まで延長してくださるとのこと。1階の「うみのえほん」と合わせて、親子でも楽しんでいただけそうです。

近くの佐渡国小木民俗博物館は、民俗学者・宮本常一氏の提案により設立された場所。復元された千石船「白山丸」も公開されていますよ。

石川県立図書館(石川)

※会期はすでに終了しております(2024年7月9日〜19日実施)

建物も魅力的な石川県立図書館を入ってすぐ、屋内広場にてみなとラボの活動紹介と「海の本コーナー」を実施していただきました。多くの方が利用されているため、たくさんの方が気にかけてくださり、本を手にとってくださっていました。

読谷村立図書館

写真提供:読谷村立図書館
写真提供:読谷村立図書館

村出身の水中カメラマンの写真展と同時開催してくださり、海を本からも写真からも楽しんでいただけるコーナーにしていただきました。

寄り道

佐渡に行った際、佐渡総合高校と一緒に制作した書籍を以前から扱ってくださっている「池田屋商店」「丸屋書店」にもお伺いしました。2年ぶりくらいだったのですが、覚えていてくださり、立ち話。特に池田屋商店さんは、2021年の『佐渡に暮らす私は』の初版時から扱ってくださっています。島にはこういう人がいて、こうやってまとめる学生がいる。続いていくと、これから高校に入る子たちが、自分たちもこういうことをやるんだと意識ができそうですね、と。だから本当はこういう活動は長く続けてほしいです、と。佐渡総合高校との取り組みは、「産業社会と人間」という授業の一環で実施したもの。キャリア教育を考えられるよう作ったプログラムでした。つくっただけではない、その先の届けてくれる存在までを意識し、こういった交流ができると本当の意味で「佐渡に暮らす私」という存在を見つけられるような気がしました。

学びの多い出張となりました。ご協力、ご尽力いただきました皆様に心よりお礼申し上げます。そして、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

※自館でも開催を希望されるご担当者さまはお気軽にみなとラボ【 info@3710lab.com】へお問合せください。


取材:
小倉快子