レポート
『わたしと岡山を重ねて』は、岡山高等学校の1年生が、2022年度の「総合的な探究の時間」の授業で、人の暮らしと環境とのつながりを探究するなかから生まれた書籍です。海に面する岡山の自然と、自分たちの生活やキャリアがいかにかかわるのかは、一様ではなく、生徒が自ら探していくべき主題。授業の問いを「地域の人は、そして私は、岡山という地域の自然や環境とどのようにかかわって生きているのだろう?」へと噛み砕き、生徒44名が2学期・3学期に取り組みました。
ガイダンスと取材準備の課題を経た10〜11月、生徒たちは地域の方へ取材に。アポ取りに苦戦したり、取材準備の時点で緊張したり、当日道に迷ったり・・・それぞれの道のりと取材体験を経て、生徒たちはたくさんの写真を撮り溜め、メモを手に、授業へ戻ります。11月にはデザイナーの宮添浩司氏を講師に迎え、コラージュ作りのワークショップを開催。取材相手にまつわるたくさんの写真から、「環境との暮らし方」「この人にとっての〈岡山〉」を切り出し、一枚の紙の上に再配置し、意味づけていきます。
コラージュをつくるなかで、取材相手の〈岡山〉との生き方を、地域コミュニティとの結びつきの強さに見出した生徒もいました。また別の取材相手の〈岡山〉の環境との生き方を、海の青さに象徴されていると言った生徒も。地域の方の体現する〈岡山〉を、それぞれの生徒がユニークな視点で切り出していく作業です。
地域の方への取材をコラージュ作品に練り上げたあと、生徒は自分自身の暮らしも記録し、コラージュにして見つめ直しました。取材した地域の方から学んだことを組み入れる生徒もいれば、〈岡山〉の環境を意識したことがなかったと気づく生徒も多かった様子。その詳細は、ぜひ書籍でご確認ください。
高校生が見出したものはそれぞれ異なりますが、それらは今後の「総合的な探究の時間」での学びへも引き継がれていきます。本書は、岡山の人々の環境との暮らしの多様性の記録でもあり、高校生たちの「理解しよう、考えよう」という応答の記録。海洋ごみ問題をはじめとする海の現状に関心を持つすべての人に、生活と海のかかわりを探る一つの出発点として、本書を手に取っていただければ幸いです。
本書は非売品となります。資料請求のページより学校、教育関係の資料としてご使用されるなど用途を明記いただきますと資料をお送りいたします。
『わたしと岡山を重ねて』